コーチングとカウンセリングの3つの違いと共有点は?コーチがやさしく解説 – コーチング道場(COACHING DOJO)

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COACHING DOJO編集部
2021.06.03 / 20 min read

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この記事の監修者
濱崎 翔吾(銀座コーチングスクール認定コーチ)

               

東京大学経済学部経営学科。心理学や心理療法、チームビルディングなどについて学ぶ。スタートアップ数社でのインターン経験、Youtubeでの情報発信経験を経て、ステラー株式会社にジョイン。現在はコーチングを通して多くのクライアントの目標達成を支援している。

コーチングの真価をわかりやすく伝え、みなさんのコーチングとの”出会いの場”を創出いたします。

近年、マネジメントや目標達成に役立つものとして注目されている「コーチング」。

なんとなく理解しているけれど、

「そもそもコーチングって何?」「コーチングとカウンセリングの違いは?」

「逆に共通している点は何?」

といった疑問をお持ちのかたもいらっしゃるのでは。

そこで今回は、コーチングとカウンセリングの違いや共通点について、徹底的にご紹介します。
認定コーチの監修のもと、大きな3つの違いを解説します。

また、「セラピー」や「コンサルティング 」といった似ている言葉との違いのご紹介します。

違いを学ぶことで、より深く「コーチング」や「コンサルティング 」についての理解を深めることができるでしょう。

コーチングとは

Caucasian young male head of department waits his subordinates to complete a task, that he gave two hours earlier in meeting room. Toned image

まず初めに「コーチング」という言葉の定義やメリットから整理していきましょう。

「コーチング」についてより良く知ることで、違いが明確になっていきます。

コーチングの定義

実はコーチングの定義には、万国共通理解となっている明確な定義はありません。

人や団体によって少しずつ定義が異なっていて、世にいるコーチ1人1人が自分の中にコーチングの定義を持っています。
定義が定まっていないことが、「コーチング」という言葉を曖昧にさせてしまっている1つの理由になっています。

有名なコーチングスクールや団体が定めているコーチングの定義を3つご紹介します。

目標達成に必要な知識、スキル、ツールが何であるかを棚卸しし、それをテーラーメイド(個別対応)で備えさせるプロセス

coachAcademia

パフォーマンス向上のために、対話によって対象者を勇気づけ、”気づき”を引き出し、”自発的行動”を促すコミュニケーション・スキル

銀座コーチングスクール

「答えはその人の中にある」という原則のもと、 相手が状況に応じて自ら考え、行動した実感から学ぶことを支援し、 相手が本来持っている力や可能性を最大限に発揮できるようサポートするための コミュニケーション技術

日本コーチ連盟

3つの定義は同じようなことをいっていますが、細かいこだわりがあったり、使っている言葉に特徴が出ています。

そもそもコーチという語源は「馬車」です。
馬車の役割は、大切な人や荷物を目的地まで送り届ける助けになることです。

コーチは相手の目標達成のサポートを全力で行うため、その様が馬車の役割と似ていることから語源になったと考えられています。

コーチングの意味についてさらに詳しく学びたい方は、「これだけ読めば分かる!コーチングの意味をメリット・種類・スキルから解説」の記事を参考にしてください。

コーチングのメリット

コーチングを取り入れていくことは、実際どんなメリットがあるのでしょうか。

適切なコーチングを取り入れる事で、得ることができる可能性のあるメリットを3つご紹介します。

部下の自発性が高まる

コーチングを順調に進めていく事が出来れば、1つ目のメリットとして、部下の自発性が自然と高まっていきます。
部下を指導する際、どのような言葉かけをすると、組織にとって大きなメリットを生み出すことができるのでしょうか。

上司の意見や価値観、判断基準をそのまま押しつけたり、課題に対して最初から答えを与えてしまうと、部下の考える力は育ちません。

コーチングでは、答えは教える物ではなく部下が自ら見つける物であると考えます。
コーチは部下に寄り添いながら、決定や決断のサポートに徹します。

当然最初は失敗してしまうこともありますが、自分で考える力が育った部下は、自発的に行動できるようになっていくのです。

部下の成長が加速する

2つ目のメリットは部下の成長が加速することです。

コーチングの効果で部下の自発性が高まると、部下は自ら様々なことに挑戦し、多くの経験を積んでいくようになります。
たとえ失敗したとしても、自分で決断した先での失敗であれば振り返り、反省し次につなげていくことでしょう。

ただコーチとして少し気を配らなければいけない点があります。
部下の自発性を尊重することは大切ですが、全ての決断を部下に委ねる必要はありません。

考えるためのベースすらない新入社員には、上司がより厚いサポートを提供する必要があります。

部下の能力や状態に合わせて、どこまでコーチとして介入していくかの見極めが重要になるのです。

経営者や経営陣の能力が高まる

3つ目のメリットはコーチ役になっている経営者自身の能力が高まっていきます。

コーチングの中でも「エグゼクティブコーチング」と呼ばれるコーチングは、経営をする側を対象としています。
エグゼクティブコーチングを受けることで、重要な決定の質を向上させたり、精神的に安定することが期待されます。

組織の上に立つ人ほど、自身の行動や決断に対する振り返りや批評を受ける回数は少なくなってしまいます。

また、お手本とするべき人もどんどんいなくなるでしょう。

振り返りの回数が減ることや、比較対象がいなくなってしまうことは学習の機会が減っているということです。
減ってしまった学習機会を補うために、コーチングを通して経営者の思考力や判断力を磨くことは組織にとって大きなメリットになるでしょう。

また、コーチングを実際に受けることで、受けた人のコーチング能力も高めていきます。

経営者のコーチング能力が高まれば、組織全体の管理能力も高まり、より大きな結果を生み出していくことができるようになるのです。

エグゼクティブコーチングについてさらに詳しく学びたい方は、「【徹底解説】なぜ一部の経営者はエグゼクティブコーチングを導入するのか?」の記事を参考にしてください。

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その他コーチングに関するダイジェストも随時更新しております。

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カウンセリングとは

ここまで「コーチング」の意味や成り立ち、メリットについてご紹介してきました。

次は、よく似た言葉として使われる「カウンセリング」とは一体どのようなものか、確認していきましょう。

カウンセリングとは、カウンセラーがクライアントとの対話を通して、クライアントが抱えている悩みを解決に導いていくことです。

カウンセリングは基本的に対話を軸として行われます。
カウンセラーが、クライアントの発言を意見や感情を挟まず受け入れることで、発言は本音に近づいていきます。

発言の内容が本音に近づくほど、クライアント自身の中で感情や思考が整理され、新しい気付きを得たり、発想が生まれるようになるのです。

カウンセリングの目的は、

・クライアントが抱えている悩みに対し新たな気付きを得る・ストレスの緩和

・問題解決

といったものです。

悩み事を解決するための手がかりや手段が見つかると、クライアントの心は前向きになり、人生が好転する可能性が生まれます。

また、別のカウンセリングの大きな目的として、クライアントが何らかの精神的な疾患に発展する前の予防、改善があります。

コーチングの効果についてさらに詳しく学びたい方は、「コーチングの効果を全解説!部下育成での実践例やメリット・科学的根拠も」の記事を参考にしてください。

コーチングとカウンセリングの3つの違い

「コーチング」と「カウンセリング」両方のについて紹介をしてきましたが、具体的にどのような違いがあるのでしょうか。

今回はコーチングとカウンセリングの違いを3つご紹介します。

違いを明確に整理して、お互いの役割や特徴についてより理解を深めていきましょう。

クライアントの状態が違う

カウンセリングの対象は、精神的・心理的な悩みを抱えた人になります。

カウンセリングは、少し心の状態が落ち込んでしまっている人に対し、治療的、予防的な意味でアプローチしていくことが目的です。
そのため、なぜ今の心理状態になってしまったのかを明らかにするため、原因や過去の経験に戻って対応していきます。

一方コーチングは、受ける相手に明確な目標やゴールがあり、定めた目標を達成するために全力でサポートするものです。
コーチングを受ける人は、将来どうなっていたいのかが明確な場合が多いです。

決まっていなくても、コーチングを進めていくことで目標が定まってきます。
コーチングは、現状を変えたいや今よりも向上したいと思っている人が受けることで、効果を発揮します。

カウンセリングが、クライアントの心理状態をマイナスからゼロに戻すことであるならば、コーチングはゼロからプラスすることなのです。

焦点が違う

カウンセリングは、クライアントが今抱えている問題や困難、障害を解決するために使われるものです。

カウンセラーは、クライアントの問題がなぜ生じたのか原因を追求する必要があるため、クライアントとともに過去を振り返ります。
過去から現在に至るまで、クライアントがどのような経験をし、どのような感情を持って生活してきたのかを深く掘り下げるのです。

つまりカウンセリングでは主に過去と現在に焦点が当たります。

一方、コーチングはクライアントが目指している未来に向けて、これからの行動に変化を促していくものです。
コーチングを進めていく上で、クライアントが未来に向けて何か新しい行動を起こし、継続する。

あるいは行動を変えることがコーチングが上手くいったかどうかを測る指標の一つになります。

目標達成を果たすため、コーチはクライアントの現在の状態と目指している姿を可能な限り明らかにする必要があります。
クライアントがどうなりたいのかが整理された後は、実現に向けサポートをしていきます。

コーチングの焦点は現在と未来にあるのです。

カウンセリングとコーチングには、導く人が見ている焦点に大きな違いがあります。

カウンセリングは問題にフォーカスした対話コーチングは目標にフォーカスした対話(ただ9割のコーチが問題にフォーカスした対話をしている)TCSでは「問題を問題視することが1番の問題」と伝えています

基本、人の問題は手段として扱わないと、共に苦しく、逆効果だからです#コーチング

— 馬場啓介(コーチングの人) (@baba_bbtrust) May 30, 2021

対話の流れが違う

カウンセリングの目的は、クライアントが抱えている「問題の解決」です。

カウンセリングは、

1. 現状・問題の把握2. 理想の確認・明確化3. 理想に近づくために必要なものを明確化

4. 何から取り組むか決定

といった流れで一般的に対話は進んでいきます。

一方コーチングの目的は「目標の達成」です。

コーチングは

1. 理想の確認・明確化2. 現状・問題の把握3. 理想に近づくために必要なものを明確化

4. 何から取り組むか決定

といった流れで対話が進みます。

扱っているテーマに違いはありませんが、初めに何を明確にするかの順番に違いがあります。

カウンセリングでは、解決すべき問題をまず最初に明らかにしてしまい、解決に向け動きます。
対するコーチングでは、クライアントが達成したい目標を決め、達成に向け動いていくのです。

目的の違いにから対話の流れにも違いが生まれてきます。

コーチングとカウンセリングの共通点

「コーチング」と「カウンセリング」の間にある明確な違いについてご紹介してきましたが、完全に別物というわけではありません。

どちらも人を対象に、対話を中心として進めていくので、共通点もいくつかあります。

次にコーチングとカウンセリングの共通点を3つご紹介します。

対人支援を目的としている

コーチングにしろカウンセリングにしろ、大きな目的は「対人支援」です。
クライアントが達成したい目標や、解決したい課題を明確にするため、コーチやカウンセラーは聞き役に徹します。

そして、どうすれば達成することができるのかを対話を通して整理していき、クライアントの決断を支援します。

クライアントの考え方や発想に違和感を感じても、コーチやカウンセラーが正しいと思っている方に修正することはありません。

あくまでもクライアントの考えを尊重し、クライアントが決めた方向や進むために、コーチやカウンセラーは支援していくのです。

求められるコミュニケーションスキル

コーチング、カウンセリングどちらにおいても進めていく上で求められるコミュニケーションスキルは共通している点が多くあります。

理由としては、どちらも基本となるのが1対1の対話になるためです。

コーチやカウンセラーに求められる代表的なコミュニケーションスキルは、

・認める・聴く・質問する・フィードバックする

・リクエストする

になります。

重要なのは、クライアントを納得させたり、論破することが目的ではないということです。

クライアントの話を聴き、尊重することはコーチングやカウンセリングでは欠かすことのできないコミュニケーションスキルになります。

「認める」ことや「聴く」ことで、クライアントの本音を引き出すことができます。
クライアントが本音で話すことのできる関係性を築くことで、その先必要となる行動や思考が見えてくるのです。

人は自分に強い関心を寄せてくれる人を好きなる傾向にあります。自分が興味持っていることに対して「それ、わかります」や教えてほしいという態度これがすごく大切です自分の興味ある事を共感してくれると嬉しくなりますよね

これだけでコミュニケーションスキルUPします!#コミュ力

— ライ@新しい人間関係克服アドバイザー (@komyuryoku0324) May 23, 2021

コーチングスキルについてさらに詳しく学びたい方は、「【実践】基本のコーチングスキル5つと、部下育成に取り入れる秘訣を紹介!」の記事を参考にしてください。

信頼関係が前提となる

コーチングやカウンセリングを進めていく上で、目的やスキルは重要ですが、大前提として信頼関係を欠くことはできません。

対話が中心となっている技法で、クライアントの間に信頼関係がなければ上手く進まないことは想像しやすいのではないでしょうか。

コーチングでもカウンセリングでも、対話を通してクライアントの本音を引き出さなければなりません。
信頼できない相手に、自分の悩みや理想とする姿を包み隠さず話すことは難しいでしょう。

本音を話すことで、クライアント自身も気付いていなかった考えや発想、目標が見えてきます。

クライアントとの信頼関係を築いていくためには、本題に入る前に雑談を挟むことや、名前で呼ぶといった方法があります。

セラピーとは

コーチングと似た意味を持つ言葉はカウンセリングの他にもいくつかありますが、まずは「セラピー」についてご紹介します。

セラピーとは、手術や薬を使うことなく身体や心理状態の不調を治療することを意味します。
心理面の治療のみだけではなく、肉体面の治療にも用いられているのが特徴です。

セラピーを行う人を「セラピスト」と呼びますが、セラピストは具体的な治療方法でクライアントに積極的に働きかけます。

コーチやカウンセラーがクライアントを中心にサポートしていくのに対し、セラピストは自ら関わっていくことが最大の違いです。

セラピーには大きく以下の4種類に分類されることができます。

・ボディケアセラピー・メンタルケアセラピー・リラクゼーションセラピー

・医療セラピー

それぞれの中で、使う道具や手法によりさらに細かく分類がされています。

コンサルティングとは

次にコーチングとよく比較される言葉に「コンサルティング」があります。

コンサルティングの目的は、クライアントが現在抱えている問題や課題を解決することです。

コンサルティングを行うコンサルタントは、クライアントの現在置かれている状況を把握し、問題点や課題を見つけます。
コンサルタントは見つかったものの解決に向けて、最善となる提案をします。

提案の元となるのはコンサルタントが持っている知識や経験、ノウハウになり、クライアントにアドバイスや具体的な指導をします。

コンサルタントは、クライアントの提案に対し有効かあるいは他の方法があるのかといったアドバイスをします。

クライアントをコンサルタントの提案をもと、課題の解決を目指していくことがコンサルティングになります。

コーチングとコンサルティングの違い

コーチングとコンサルティングには具体的にどのような違いがあるのでしょうか。

コーチングにおいて、コーチはクライアントの目標や理想の実現に向け、サポート役に徹することが求められています。
達成に向け、何をするのか、どう考えていくのかを決めるのはクライアントです。

コーチが、具体的にクライアントの行動や考え方について提案をすることはありません。

一方コンサルティングでは、コンサルタントがクライアントに対して具体的な提案やアドバイスを行います。
現状の解決に向けたクライアントの考えや発想に対して、コンサルタントが判断を下すことをします。

コーチングとコンサルティングの間には行動の決定や、目標達成に向けた道筋を作っていく過程に大きな違いがあるのです。

コンサルティングカウンセリングティーチングコーチング

WhatとHowがそれぞれ違うものだからね。ごっちゃにしないようにね。

— 向井俊介 | 元外資代表の営業本質論 (@Shun_Mukai0718) February 27, 2021

コーチングとカウンセリングの本質的な違いを理解しよう

いかがでしたでしょうか。

コーチングとカウンセリングは大きな視点で見れば似ている手法になるのかもしれません。
しかし、クライアントの状態や当てている焦点には明確な違いがあります。

2つの手法の本質的な違いを理解し、場面にあった手法を用いていきましょう。

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